土台のリズム
土台を築く大切さ
人生の土台
何十年という人生の中でも、最も発達を遂げていく時代に、しっかりと自らの土台を築き上げる大切さ。そしてどの子も育つという理念のもと、朱七保育所では、リズムの中でも、【土台のリズム】といわれるリズムを大切にしていきます。
体を育てることの大切さは、数十年の実践を通して考えてきました。心理面の発達を先行させる風潮が世の中にはあります。言語的な発達を優先させ、自らの想いを人に伝える子ども達を育てています。言語的に発達させていくことはもちろん大切であり、しっかりとコミュニケーションを取れる子ども達を育てていくこともまた必要不可欠です。もう一つに、【意欲行動の減少】と言う社会問題があります。コミュニケーションは良好に発達しており、自らの意見は述べられても、行動が伴わず、問題を解決していく姿が見られない子ども達が多く存在してしまっているのです。
【意欲】とは、生まれながらにどの子も持ち合わせたすばらしい能力です。意欲が欠如することはありません。目標とする事柄が減少若しくは消失してしまっているだけなのです。自らの眼前に目標を定められる環境があることが、子ども達の発達を支える環境なのです。
人はみな自然の中に生まれてきます。最新設備の整った環境に生まれてきたとしても、生まれてくる子ども達には差違はありません。すべての子ども達は自らの力で発達を為し遂げていくのです。しかし、周囲の環境がその子どもに与える影響は計り知れません。長きにわたり生を全うする人間にとって、保育所時代の六年間は、人間の土台を築く大切な時代なのです。
運動と感覚
人間は、感覚を豊かに発達させてきた動物です。脳の前方に位置する大脳の前頭前皮質を大きく発達させてきました。感覚を重視していく発達を心掛ける教育や、早期に識字を行わせ読み書きを最重要とする教育などが多く採用されています。日本という国において、学歴社会に身を置いていく子ども達を考え、早期教育をする保護者が多いことも事実です。しかし、朱七保育所では、子ども達の感覚は、自らの力で獲得していくべきであり、様々な経験をいかに運動を通して獲得できるかに重きを置いています。日本語は、世界的に表現豊かな言語として有名です。それは、四季に恵まれた島国で、先祖たちが感性豊かに育んできた言語だからでしょう。それに支えられた技術力もまた日本人の宝でもあります。そして勤勉さということもまた事実です。感覚を育てることは、大人が積極的に与えていくことなのでしょうか。それよりも自ら獲得していく方がよいのではないでしょうか。文化や伝統は、出来る限り生活を通して伝えていかなければいけませんが、それ以外の感覚的教育は、本来自然から学ぶべきだと想います。
運動を通して新たな感覚を取り込んでいくことが何よりも大切であると考えています。運動をすることにより、脳の各部分を活性化させ、感覚を取り入れ、様々な情報を結び付けていきます。3歳を迎えていく子ども達においては、運動の様式もまたそれまでとは違った形で現れてきます。そのとき、脳内では、それまでに取り込んできた情報を整理する時期が訪れます。こうした時期に運動をしっかりとすることで体を動かすという当たり前の行動を養っていきます。では、なぜ運動が大切なのかということです。
新たな感覚を得るということは、運動を起こしていくことで何倍にも膨れていくからです。問題が目の前に訪れても、運動が出来ない子ども達は乗り越えていく術を見失ってしまいがちなのです。少しづつでもいいので問題に向かい合っていく姿は、根気や集中力という力が必要不可欠です。自らを支える体力やぶれない体などを発達させていくことで、子ども達の自ら行うという気持ちが支えられていくのです。
土台のリズムの大切さ
運動の基礎をしっかりと
直立二足歩行を獲得した人間。歩く・走る・掴む・飛ぶ・投げる・蹴る・回す・押す・引く。様々な運動が人間の基本であり、一つとして欠かすことが出来ない。
背骨と骨盤、腕と足、そして頭。体はそれぞれが複雑に絡み合って運動を起こしています。それぞれがばらばらに動いていては、複雑な運動をすることは出来ません。それぞれが強調しながら動いていく運動を、脳がどれだけ覚えていくかが大変重要になっていきます。ヒトでは脳の運動を司る部分は大変高度に発達しており、割合もまた多く占めています.。歩くと一言で言っても、様々な形が存在し、処女歩行から始まり、乳児歩行や初期歩行、幼児歩行とドンドン発達していきます。まずは、しっかりと歩けることが大変重要で、歩くことにより、脳の発達は支えられると言っても過言ではありません。
睡眠障害という言葉が騒がれていますが、乳幼児期においてもまた大変重要なことになっています。セロトニン系神経系という脳の部分が関連していますが、この神経系を発達させることで、様々な問題を乗り越えていくことに繋がっていきます。セロトニン神経系は現在研究が進められ様々なことが解ってきています。キレやすい子ども達や意欲の減退を見る子ども達、発達に障害を抱える子ども達にとって、このセロトニン神経系が及ぼす影響も見過ごすことは出来ません。
人は皆体内にリズムを持ち、成人で約5~3Hzといわれています。乳幼児ではこの間隔が速く、歌や運動が小刻みに感じ取られていることが解ってきました。土台のリズムにおいては、運動の基礎であり、その間隔を意識しながら取り組むことも重要であると考えています。子ども達は落ち着きが無く、はしゃいでいる姿をよく子どもらしいといわれますが、本来子ども達はそのような姿ではありません。落ち着きなさいといわなくても、今はしゃいで良いのか静かにしなければいけないのかなど、その状況を察する力を持っています。それもまた、このセロトニン系神経系の発達無くしてはありません。
土台のリズムは単純な運動の繰り返しですが、この単純な運動を通して、脳はしっかりと発達していきます。単純な運動のため、自らの体を意識しやすく、自らの運動を意識しやすいのです。そして自らを知っていく力は他人を理解する力へと変わっていくのです。
人の体は、繊細且つ大胆に組まれたプラモデルのようなものです。関節といわれるジョイント部と、筋肉といわれるモーターによって体は動いています。乳幼児の場合その筋肉の成長には、年齢差があり、生まれてすぐにすべてが揃っていることではありません。土台のリズムでは、各年齢に沿った形があり、着いてくる筋肉や関節を考慮した取り組み方などがあります。そしてそれぞれの部分を効率良く使っていける経験は様々な運動へと昇華されていきます。
自らを育てるリズム
ヒトの発達は、分化・統合を繰り返します。一つのことが、出来るとそれが複雑になっていき、また、一つ一つをクリアしていくことで、それがまた一つへと合わさっていき、今まで以上に高度になっていきます。土台のリズムもこの、【分化・統合】を繰り返しながら進んでいきます。それぞれの演目が、それ以外の演目に影響を及ぼしながら、混じり合いながら発達していくのが土台のリズムです。
発達の最近接領域という理論があります。簡単に言いますと「自分が出来ることの少しだけ上のこと。頑張れば出来ること」です。土台のリズムは単純だからこそ、この最近接領域を子ども達へ伝えやすいと言えます。大変このことは難しく、経験と理解が必要ですが、子ども達に寄り添いながら、その子ども達が求める最近接領域を見定めながらリズムを行っています。
土台のリズムでやり遂げる喜びを掴んでいく子ども達。「できた!」と感じ取れる経験は、やりたいという意欲へと転化され、毎日少しずつ、自分を乗り越えていきます。そして自分の価値観を満足させ、自己の形成を進めていきます。
リズムは自らを育て自らを表現する力をつけるのです。運動という一側面しか目立たない場合が多いとは想いますが、リズムは心を豊かにし、その子ども達を表現豊かな存在へと育てていくのです。自らを持ち自ら行動できる子ども達を土台のリズムから感じ取ってください。

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